ホテルサイトの予約獲得やブランディングとして特に有効なのが、SEO対策です。集客力向上のためにサイト改善に取り組んでいるものの、予約が伸びずお悩みの方もいるでしょう。
本記事では、ホテル・旅館の集客担当者様やホテル業界のWebサービスを提供する企業様向けに、ホテルSEO対策の主な施策や施設別の優先施策を紹介します。また、目標値にすべきコンバージョン率(CVR)の目安やSEO施策に役立つツール、成功事例も紹介します。
自社サイト運用を強化し、オンライン旅行代理店(OTA)に頼らない集客力を手に入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
また、WebサイトのSEO対策でお悩みの方は弊社の画像最適化サービス「Imgix」もご検討ください。日本経済新聞や一休.comといったサイト改善にも活用いただいています。

ホテルSEO対策とは?

ホテルSEO対策とは、ホテル公式サイトがGoogleなどの検索エンジンで上位に表示されるよう、コンテンツやサイト構造を最適化する取り組みです。
検索結果での露出を高め、宿泊予約や資料請求などのコンバージョンの向上が主な目的です。
一般的なSEOが幅広い業種・商材に共通する集客の基本施策であるのに対し、ホテルSEOは業界特有の検索ニーズや競合環境を踏まえます。例えば、ホテルSEOのコンテンツ最適化では、写真や客室情報、プラン内容などの宿泊検討に直結する情報を充実させます。
つまり、ホテルSEO対策は旅行者の検索意図に合った情報提供により、大手予約サイトに埋もれず公式サイトに誘導できるかが大きなポイントです。
ホテルSEO対策の重要性
近年ホテルSEO対策は、以下の3つの観点から重要性が高まっています。
- 直接予約の獲得
- Webサイトの安定した集客
- ホテルのブランドイメージの向上
ホテルSEO対策により上位表示を実現すれば、安定した集客チャネルの構築が可能です。その結果、直接予約が増加し、利益率が向上します。
自社サイトの安定した集客力は、繁忙期・閑散期の利益率の波を抑えるうえで大きな価値を持ちます。
また、公式サイトが上位に表示されると、ユーザーの信頼感を高め、ブランドイメージの向上が可能です。結果的に、価格競争に巻き込まれにくい差別化を実現できます。
ホテル・旅館業界のCVR【目標値】

ホテルSEOを対策する際、特に重視すべき指標がCVRです。
CVRとは、訪問者のうち実際に予約や問い合わせに至った割合で、以下の計算式で示されます。
CVR = (コンバージョン数 ÷ セッション数) × 100(%)
CVRが高いほどSEO対策が最適化できており、サイトが訪問者を予約・問い合わせへと導けていることを意味します。
なお、ホテル・旅行業界の公式サイトにおけるCVRは、0.7%〜2%程度が平均的です。特にOTAと比較すると公式サイトは流入数が限られやすく、ユーザーが途中で離脱するケースも多いため、他業界と比較して低めです。
一方、適切なホテルSEO対策を実施した優良サイトでは、 2.3%〜6%超えと高水準を実現しています。
ホテルSEO対策を実施する際は、1%超えをまずは目指し、最終的に2%以上を維持できるように取り組みましょう。
ホテルSEO対策の手順

本章では、ホテルSEO対策の基本的な手順を解説します。
1.現状分析
まずは、自社サイトの現状を正しく把握することから始めます。
現状分析のポイントは、以下のとおりです。
- 検索順位:自社名や地域名+ホテル名などの主要キーワードでの表示位置を確認
- 流入キーワード:流入率が高いキーワードや機会損失しているキーワードを洗い出し
- 競合調査:コンテンツの充実度や口コミ・画像の活用方法など、同じエリアの競合ホテルや大手予約サイトのSEO施策を分析
現状分析は、戦略設計や改善施策の精度を左右するため、さまざまな側面から行いましょう。
2.目標設定・戦略設計
現状把握後は、以下のように具体的な目標値と戦略を設計します。
- CVRや流入数などの目標設定:現状CVRが0.5%の場合は1%、月間自然検索からの流入数を◯件増加させる、などと定量的な目標を設定
- ターゲット顧客とキーワードのマッピング:カップル向けは「温泉旅館+カップルプラン」、ファミリー向けは「子連れ歓迎+地域名」などと、顧客属性ごとにキーワードを定義
定量目標のもと、どのターゲットにどのように訴求するかを明確にしておくと、SEO施策に一貫性が生まれ、より確実な成果獲得につながります。
3.SEO施策の実行
続いて、設計した戦略に沿って改善施策に着手します。
施策を実行する際は、現状課題に応じて優先度をつけ、取り組むことが重要です。例えば、ページの表示速度や離脱率が課題の場合は画像最適化、露出が課題の場合はSNS運用やコンテンツ最適化を優先します。
各施策を順序立てて実行し、自社サイトの弱点を重点的に強化すると、効率良く改善できます。
4.効果測定
施策実行後は、効果測定が欠かせません。
GoogleアナリティクスなどのWebサイト測定ツールを活用し、検索順位の推移や自然検索からの流入数、CVRなどの指標を定点観測します。施策の効果を定量的に評価することで、改善ポイントをより客観的に分析できます。
5.継続改善
SEO対策は、継続的な改善が欠かせません。
例えば、効果の高い施策を継続的に拡大しつつ、成果が出にくいページやキーワードは原因を分析して改善策を検討します。また、新しい旅行需要や季節イベントに合わせてコンテンツを更新し、常に最新情報を発信することが重要です。
特にホテル・旅館業界は競合が多いため、継続改善を怠ると順位がすぐに下落します。そのため、PDCAサイクルを回し続け、検索順位の安定化を狙いましょう。
ホテルSEO対策の主な施策

本章では、4つのホテルSEO対策における各施策を紹介します。
1. 技術的SEO
技術的SEOとは、検索エンジンとユーザーの双方にとって快適に閲覧・評価されるサイト構造を整備する施策です。
主な施策は、以下のとおりです。
- ページ表示速度の改善:画像最適化やキャッシュ活用などでトップページや画像表示を高速化
- モバイルファースト対応:レスポンシブデザインやタップしやすいボタン設計で、モバイルユーザー向けに最適化
- 構造化データ設定:レビュー評価の表示や住所・設備などの施設情報の強調で、競合サイトとの差別化
ホテルサイトは画像や動画などのコンテンツ量が多く、画像最適化はホテルSEOの最重要施策といえます。
2. キーワード選定
キーワード選定施策とは、ユーザーの検索意図を分析し、自社ホテルがもっとも訴求できる検索キーワードを見極める施策です。
優先的に選定すべきキーワードは、以下のとおりです。
- 地域名+ホテル:「東京駅 ホテル」など、旅行や出張で宿泊先を探すユーザーが検索するキーワードで、コンバージョンに直結
- 目的別:「出張向け ビジネスホテル」など利用シーンを想定した検索キーワードで、顧客層ごとに訴求でき、プラン作成や専用ページと相性が良い
- 体験型:「プール付きホテル 大阪」など、特定の体験や付加価値を求めるユーザーが利用するキーワードで、客単価が高く競合との差別化が可能
ターゲットの検索意図や滞在目的に合ったキーワードを選定できると、サイトへの高品質な流入を継続的に獲得できます。
3. コンテンツ最適化
コンテンツ最適化施策とは、ユーザーの検索意図に沿った内容を作成し、予約につながる情報発信を行う施策です。
具体的な工夫ポイントは、以下のとおりです。
- 滞在体験を意識した客室・設備の紹介ページを作成:単なる部屋タイプの説明ではなく、カップルに人気の夜景が見える客室など利用シーンを具体的に表現
- 周辺観光情報などを記事化:旅行者に役立つ観光スポット紹介や交通案内は共有されやすく、外部リンク獲得に効果的
- Q&A形式でよくある質問をまとめる:ユーザーの検索意図を幅広くカバーし、リッチリザルト表示によるクリック率向上も期待
ホテルサイトでは、単なる施設紹介にとどまらず、旅行者に「泊まりたい」と感じさせる体験価値を伝えることが重要です。
4. 外部対策
外部対策とは、自社サイト以外の外部要因を通じて検索エンジンやユーザーからの信頼性を高める施策です。
具体的には、以下の取り組みが効果的です。
- Googleビジネスプロフィールの最適化:口コミへの丁寧な返信や最新情報の定期更新で信頼性を強化し、直接予約数を増加
- 観光協会サイトなどからの被リンク獲得:検索エンジンからの評価を高めるとともに、地域の観光動線に自社サイトを組み込み、宿泊検討ユーザーの流入を拡大
- SNSと連動した情報発信:Instagramなどで発信した情報がシェアされると、自然な被リンクの増加と認知拡大が期待
内部対策と並行して継続的に実施すると、ホテルのブランド力と集客力が長期的に高まります。
【ホテル別】優先すべきSEO対策

ホテルの種類に合わせてSEO対策の優先順位を変えると、ターゲットの検索意図にマッチし、効率的に集客できます。本章では、ホテル別の優先対策を解説します。
ビジネスホテル
ビジネスホテルを主に活用する出張客や短期滞在を目的とした利用者は、利便性とスピードを重視する傾向があります。
そのため、ビジネスホテルのSEOでは、以下のようなスピード感・利便性・即決性を重視した最適化が効果的です。
- アクセス情報の充実:駅からの徒歩時間や主要オフィス街・空港へのアクセスを明記し、移動のしやすさをアピール
- スピード改善:モバイル表示を最適化し、画像圧縮でページを高速化
- Googleビジネスプロフィールの強化:写真の充実や口コミ対応、最新情報の更新で即時予約を獲得
特に、出張中の検索はスマートフォンから行われることが多く、表示が遅いと予約機会を逃します。そのため、モバイル最適化と画像圧縮による高速表示を優先的に実施しましょう。
リゾートホテル
リゾートホテルは非日常的な体験や観光拠点としての役割が強く、ユーザーは宿泊そのものだけでなく、滞在を通じた体験を重視します。
そのため、SEO対策も以下のような観光需要に直結する施策を優先すると効果的です。
- 観光コンテンツの充実:周辺観光や体験情報を掲載し、「観光+ホテル」のキーワード検索での流入を強化
- ビジュアル強化:画像最適化と公式YouTubeでの発信で印象を高め、予約率を向上
- 多言語対応:英語や中国語ページを整備し、海外からの検索流入を拡大
上記を重点的に実施すると、国内外の幅広い旅行者を効果的に取り込めます。
温泉旅館
温泉旅館の利用者は、癒し・食・情緒などの体験価値を重視する傾向があります。
そのため、SEO施策においても以下のような宿泊体験を想起させる情報発信が重要です。
- 料理・客室紹介ページの充実:写真を最適化し、季節の料理や客室の雰囲気を伝えて予約意欲を向上
- 口コミ施策:Googleマップや旅行サイトの口コミを管理・返信し、信頼性を強化
- ローカルSEOの強化:地域観光と連動した記事や周辺ガイドを作成し、「温泉地+旅館」検索での露出を拡大
検索を通じて旅情を感じさせるコンテンツ設計によって、集客と予約率の向上につながります。
シティホテル(高級ホテル)
シティホテルや高級ホテルは、ブランド価値や特別な体験の訴求が重要です。
具体的なSEO対策例は、以下のとおりです。
- 画像最適化:高画質な客室や夜景、料理写真を掲載し、最適化で表示速度を改善
- レビュー・メディア露出の強化:口コミ管理や旅行雑誌・高級宿泊メディアへの掲載で信頼性を向上
- インバウンド対応:英語・中国語ページを整備し、海外検索エンジンでの露出を拡大
高級ホテルのSEOは、価格ではなくプレミアム性を意識して設計する必要があります。
ホテルSEO対策に役立つツール

ホテルSEOを効率良く進めるためには、ツールの活用が欠かせません。
特におすすめなツールは、以下のとおりです。
【キーワード調査ツール】
- 特徴:検索ボリュームや関連語を調べ、旅行者が使用する検索語句を特定可能
- 例:Googleキーワードプランナー:各キーワードの月間検索ボリュームや関連キーワードを調査できる無料ツール
【コンテンツ最適化ツール】
- 特徴:検索上位サイトとの比較や内部SEO改善を支援
- 例:Surfer SEO:競合サイトの構成や不足コンテンツを分析し、記事構成やフレーズを提案してくれるツール
【技術的SEO・速度改善ツール】
- 特徴:サイトの画像最適化や表示速度などの改善・分析に有効
- 例:Imgix:ホテルサイトで多用される写真を自動で最適化し、サイズ変換や圧縮を行う画像最適化プラットフォーム
【ローカルSEO・口コミ管理ツール】
- 特徴:地域検索対策や口コミ対応を一元化することで、ローカル集客を強化
- 例:Googleビジネスプロフィール:Googleマップ上などでホテルの施設情報や写真、口コミを一括管理できるサービス
【効果測定・解析ツール】
- 特徴:施策の成果を定量的に把握可能
- 例:Google Search Console:サイトのクリック数やインデックス状況を確認でき、検索結果での評価を把握できる無料ツール
複数のツールにより継続的に分析・改善を行うことで、検索順位が効率良く向上します。
ホテルSEO対策の注意点

本章では、ホテルSEO対策を実施する際の注意点を紹介します。
画像最適化と表示速度のバランス
画像最適化を重視しすぎると、表示速度が低下します。速度が遅いとユーザーが離脱し、SEO評価にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。
そのため、画像最適化を実施する際は、高品質な写真を維持しつつ軽量化できる方法を選びましょう。
例えば、WebPやAVIFといった軽量フォーマットへの変換や、Imgixなどの最適化ツールの導入が有効です。サイトにおける見た目の魅力と高速表示の両立を実現できます。
OTA掲載戦略の並行
自社サイト運用に限定し、OTA掲載を完全にやめるのはリスクです。
OTAは手数料により利益率が下がるものの、圧倒的な広告力で検索上位に表示されやすく、自社サイトでは届きにくい潜在顧客へリーチできます。
そのため理想的な運用は、OTA掲載で認知拡大し、公式サイトで直接予約に誘導する二段構えの戦略です。例えば、OTAで宿泊施設を認知した顧客が、公式サイトで公式限定特典を見て直接予約に切り替える導線設計が有効です。
それぞれをバランス良く活用しつつ、自社予約比率を徐々に高められると、長期的に収益が改善します。
口コミ・ローカルSEOの継続改善
ホテル・旅館業界では口コミ評価=信頼性と見なされやすいため、放置は逆効果です。
そのため、以下のような対策を継続的に実施しましょう。
- 悪い口コミへの対応:ただ謝罪するだけでなく、改善策や再発防止策を明確に提示
- 良い口コミの活用:高評価の口コミを公式サイトやSNSで紹介し、SEOとブランディングの両面で活用
- 定期的な情報更新:Googleビジネスプロフィールの投稿機能で新プランやイベントを告知し、ローカル検索での露出向上
口コミやローカルSEOでは日々対応を積み重ねることで、検索順位と予約率の安定化につながります。
よくある失敗パターン
ホテルSEO対策では、基本を軽視すると十分な集客効果を得られません。
特に、以下には注意が必要です。
- キーワード選定の不十分さ:「東京 ホテル」など競合が激しいビッグキーワードのみを狙い、「東京駅近く ビジネスホテル」などニッチな検索ニーズに対策しない
- 画像サイズの最適化不足:高解像度の写真を掲載し、表示速度が遅くなり離脱率や検索評価が低下
- altタグの未設定:画像検索やアクセシビリティ評価に影響するaltタグを設定されていないと、SEOの機会損失を招く
少なくとも上記の改善点でも対策することで、検索順位や予約率に大きな違いが生まれます。
ホテルSEO対策の成功事例と実装方法

本章では、ホテルSEO対策の成功事例を紹介します。
画像最適化による改善事例

高級宿泊予約サービスを提供する一休.comは、特別な体験を視覚で届けるため、長年にわたり高品質な画像配信に注力しています。
従来、AWS LambdaとImageMagickを用いて画像を処理していましたが、対応フォーマットの制限や運用負荷、開発リソースの消耗が課題となっていました。
そこで、一休.comは、画像を処理する際にあらゆる自動最適化パラメータを設定できるImgixを導入。
導入により、画像配信の平均レスポンスタイムを16ミリ秒にまで短縮でき、ユーザーがWebページを開いた際の表示速度が大幅に向上しました。
事例紹介ページ:画像処理を刷新し、Google PageSpeedを15ポイント向上。平均レスポンスタイムは16msに短縮
技術的SEO改善の具体的効果
技術的SEOを改善すると、検索エンジンがサイトを正しく評価できる環境が整い、ユーザーに快適な閲覧体験を提供できます。
各施策で得られる具体的な効果は、以下のとおりです。
- 画像最適化:ページの読み込み速度が向上し、離脱率の低下とユーザー体験(UX)が改善
- サイトマップの整備と不要URLの削除:クロール効率が向上し、重要ページのインデックス率が改善
- 内部リンク構造の最適化:主要ページへのアクセスがスムーズになり、滞在時間や回遊率が向上
- HTTPS化・構造化データの導入:セキュリティ評価と信頼性が高まり、検索結果でのクリック率が上昇
それぞれを組み合わせると、自然検索からの流入拡大や予約件数の増加につながり、サイト全体のSEOパフォーマンスが向上します。
画像最適化ツールの活用(Imgix活用)

出典:Imgix
ホテルサイトにある大量画像の最適化に有効なのが、画像最適化プラットフォーム「Imgix」の活用です。
Imgixは、以下の点でホテルSEO対策に有効です。
- 自動圧縮・変換:画像をWeb向けに最適化しつつ、ユーザーの閲覧端末に応じて最適なサイズ・解像度に自動変換
- 次世代フォーマット対応:WebPやAVIFなど、軽量で高画質なフォーマットに自動変換し、データ容量を大幅に削減
- CDNによる高速配信:世界中のCDN(コンテンツ配信ネットワーク)から、ユーザーにもっとも近いサーバーを経由して画像を配信し、表示速度を最大化
上記を組み合わせることで、高画質な画像を多用するページでも読み込み時間を短縮でき、検索順位の上昇と予約完了率の向上が実現します。
まとめ ホテルSEO対策の実践で長期的に集客力アップ

ホテルSEO対策は、単に検索順位を上げることが主目的ではなく、予約導線を整えるための長期的な集客戦略です。
なかでも優先すべき対策が、画像最適化です。ホテルサイトは写真の使用が多く、高品質な画像の読み込み速度が早く表示されると、SEO向上が期待できます。
WebPなど軽量フォーマットへの変換や画像圧縮などの画像最適化を効率化したい場合は、Imgixまでお問い合わせください。











