画像サイズをそのままに容量を小さくする方法|簡単な軽量化を解説

高画質な画像は魅力的ですが、ファイルの容量が大きいとWebサイトの表示が遅くなり、訪問者が離脱するリスクが高まります。
画像の表示速度を考慮するなら、画像容量を小さくする必要がありますが、「サイズも変わってしまうのではないか」と感じる方もいるのではないでしょうか。

画像のサイズそのままで容量だけを小さくする方法があります。画像圧縮ツールや次世代フォーマットを活用すれば、見た目の品質を保ちながら、ファイルサイズを大幅に削減できます。

本記事では、専門的な知識や高価なソフトを使わずに、画質をほとんど落とさずに画像容量を小さくする方法を解説します。

画像容量を小さくすべき理由

画像のファイル容量を小さくしなければならない理由は、以下のとおりです。

  • 表示速度の向上でユーザー体験とSEO評価が改善する
  • ストレージ容量を節約し、サーバーコストを削減できる
  • プライバシーを保護し、セキュリティリスクを低減する

なぜ画像容量を小さくすることが推奨されるのか、その具体的なメリットを見ていきましょう。

Webサイトの表示速度が向上し、ユーザー体験とSEO評価が改善する

Webサイトの表示速度は、訪問者の満足度に直結する極めて重要な要素です。
ページの読み込みに時間がかかると、多くのユーザーは待つことなくページを閉じてしまいます。

実際に、ページの読み込み速度とユーザーの行動には、密接な関係があるとGoogleの調査で判明しています。
Googleの調査によると、Webサイトのページの読み込みに3秒以上かかると多くのユーザーが離脱する傾向があることが示唆されています。

わずかな表示遅延がビジネス機会の損失につながる可能性があります。
また、GoogleはWebサイトの表示速度を検索順位の評価指標である「Core Web Vitals」に含めており、SEO対策の観点からも画像の軽量化は不可欠です。

参照:モバイルページの読み込みを速くする – Google AdSense ヘルプ

ストレージ容量を節約し、サーバーコストを削減できる

画像はテキストに比べてファイルサイズが大きいため、ストレージ容量を圧迫する主な原因となりがちです。
加えて、サーバー・CDNのストレージ費用・データ転送量は運営コストに大きく影響します。

特にアクセス数の多いWebサイトでは、高画質の画像を多用すると、サーバー負荷が増加し、Webサイトの表示速度が低下する可能性があります。
結果として、ユーザーエクスペリエンスが損なわれ、サイトからの離脱率を高めるリスクを招きかねません。

画像の軽量化は、このような運用コストの削減とユーザーエクスペリエンスの向上に直結する取り組みです。

プライバシーを保護し、セキュリティリスクを低減する

デジタルカメラやスマートフォンで撮影された画像には、多くの場合「EXIF情報」と呼ばれるメタデータが付加されています。
これには、ファイルサイズを増加させるだけでなく、プライバシーに関わる情報が含まれている可能性があります。

EXIF情報の内容が意図せずインターネット上に公開されると、個人の特定や行動パターンが推測されかねません。
画像容量を小さくする過程でこれらの不要なメタデータを削除することは、プライバシーを保護し、セキュリティリスクを低減するうえでも非常に重要です。

「サイズそのまま」で画像容量を小さくする方法

サイズをそのままに、画像容量を小さくする方法は以下のとおりです。

  • 画像を圧縮する
  • 最新の画像形式を利用する
  • メタデータを削除する
  • Windows/Macの標準機能で調整する
  • スマートフォンで軽量化する
  • プラグインを利用する

それぞれの方法について、順番に解説します。

画像を圧縮する

画像圧縮は、ファイル容量を小さくするためのもっとも基本的な手法です。
圧縮方法には、画質がまったく劣化しない「可逆圧縮」と、人間の目では認識しにくい部分のデータを削除して大幅に圧縮する「非可逆圧縮」の2種類があります。

それぞれの違いは以下のとおりです。

圧縮方式メリットデメリット
可逆圧縮・画質がまったく劣化しない
・圧縮や展開を繰り返しても品質が変わらない
圧縮率が低い(容量の削減効果が小さい)
非可逆圧縮圧縮率が高い(容量を大幅に削減できる)・画質が劣化する
・一度圧縮すると元に戻せない

ロゴやイラストのように色の境界がはっきりした画像は可逆圧縮、写真のように色数が多く複雑な画像は非可逆圧縮が向いています。
目的に合わせて適切な圧縮方式を選ぶことが重要です。

なお、画像圧縮はTinyPNGやImageOptimなど、手軽に使える無料の画像圧縮ツールで簡単に実践できます。

少数の画像圧縮だったら、無料ツールを使った方がスピーディーです。

最新の画像形式を利用する

従来のJPEGやPNGよりも高い圧縮率を誇る次世代画像フォーマットを利用することも非常に効果的です。
代表的なものに「WebP」や「AVIF」があります。

次世代画像フォーマットは、画質の劣化を最小限に抑えながら、ファイルサイズを大幅に削減できるように設計されています。
それぞれの特徴は以下のとおりです。

フォーマット特徴
WebPJPEGやPNGより圧縮率が高い
AVIFWebPよりさらに高い圧縮率を誇る

なお、次世代画像フォーマットをWebサイトで使う際は、対応していないブラウザのために従来のJPEGなどを代替画像として設定しておくと、より多くのユーザーに正しく表示できます。

メタデータを削除する

画像のEXIF情報のようなメタデータは、表示には不要であり、ファイル容量を増加させるだけの要素です。
これらの不要な情報を削除することで、データ量を削減し、Webサイトの表示速度向上やストレージ容量の節約につながります。

多くの画像圧縮ツールには、メタデータ削除機能が標準装備されており、圧縮処理と同時に実行可能です。
メタデータには撮影場所や日時などの個人情報が含まれる場合があるため、プライバシー保護の観点からも削除が推奨されます。

軽量化とプライバシー保護のため、特に理由がない限りメタデータを削除するように心がけましょう。

Windows/Macの標準機能で調整する

新しいツールを使わずに、普段から使い慣れているパソコンの標準機能だけでも画像の軽量化は可能です。
Windows・Macそれぞれでの調整方法は以下のとおりです。

【Windows】

方法説明
ペイント画像を開き、「名前を付けて保存」でJPEG形式を選ぶと、画質を維持しつつ容量を削減できる。
プロパティ画像ファイルを右クリックし、「プロパティ」→「詳細」タブから「プロパティや個人情報を削除」を選択すると、EXIF情報を削除できる。

【Mac】

方法説明
プレビューアプリ「ファイル」メニューから「書き出す」を選択する。「品質」スライダーで容量の調整も可能。

スマートフォンで軽量化する

スマートフォンで撮影した写真でも、パソコンに移さずに直接容量を小さくする方法があります。

アプリ名 / 機能対応OS特徴
画像圧縮(iOS)iOS圧縮後の容量を指定できるなど、細かい設定が可能。
写真リサイズ(iOS/Android)iOS Android複数の写真をまとめて一括で圧縮できる。
ショートカットアプリ(iOS標準)iOS「イメージを変換」アクションを使い、自分で圧縮機能を作成・自動化できる。

上記のアプリを使えば、SNSへの投稿前やメールでの送信前に、手軽に画像の容量の調整が可能です。

WordPressならプラグインを利用する

WordPressでWebサイトを運営している場合、プラグインを導入することで画像最適化のプロセスを完全に自動化できます。
画像をアップロードするだけで、自動的に圧縮や次世代フォーマットへの変換が行われるため、手間が大幅に削減されるのでおすすめです。

プラグイン名特徴
EWWW Image Optimizer高い人気を誇るプラグイン。アップロード時に自動で圧縮・最適化を行う。
Converter for Media画像を自動でWebPやAVIF形式に変換。サイトの表示速度向上に大きく貢献する。

上記のプラグインを導入すれば、コンテンツ作成に集中しながら、常に画像を最適化できます。

画像容量を小さくする際のポイント

画像容量を小さくする際にもっとも避けたいのは、画質が著しく劣化してしまうことです。

ファイルサイズを削減しつつ、見た目の美しさを保つためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

圧縮率をプレビューで確認する

多くの高機能な圧縮ツールでは、圧縮率をスライダーなどで調整しながら、仕上がり後の画像をリアルタイムでプレビューできます。

Googleの「Squoosh」などがその代表例です。
このようなツールを使用することで、圧縮率を細かく調整し、画質の劣化を最小限に抑えながらファイルサイズを削減できます。

また、画像のプレビュー機能を利用することで、圧縮後の画像を事前に確認できるため、画質の劣化具合を把握しやすくなるのもメリットです。

プレビューで確認する際は、ファイルサイズの変化を見ながら、画質の劣化が気にならないギリギリのラインを見極めることが重要です。

圧縮率を高く設定すればファイルサイズは小さくなりますが、画質が著しく劣化する可能性があるので注意しましょう。
逆に、圧縮率を低く設定すれば画質は維持できますが、ファイルサイズの削減効果は小さくなります。

そのため、プレビュー機能を利用しながら、画質とファイルサイズのバランスが取れた最適な圧縮率を見つける必要があります。
少し手間はかかりますが、画像のクオリティを維持するうえで非常に有用な方法です。

画像の種類に応じて最適なフォーマットを選ぶ

すべての画像に同じファイル形式を使うのではなく、その内容に応じて最適なフォーマットを選ぶことが、画質維持と軽量化の両立を可能とします。

画像の種類おすすめのフォーマット理由
写真JPEG・WebP・AVIF豊富な色数を効率的に圧縮できる非可逆圧縮が適している。
ロゴ・アイコンSVG・PNG境界がはっきりしており、拡大縮小しても劣化しないベクター形式(SVG)や、画質劣化のない可逆圧縮(PNG)が最適。
背景が透明な画像PNG・WebP・GIF透過情報を保持できるフォーマットが必要。

このように適切に使い分けることで、それぞれの画像の特性を活かしたもっとも効率的な軽量化が可能になります。

大量の画像を扱うなら自動化を検討する

Webサイトで大量の画像の容量を小さくする作業は、手動では膨大な時間がかかるものです。
その際は、画像の最適化作業の自動化を検討しましょう。

自動化の最大のメリットは、時間と労力の大幅な削減です。
手作業で行っていた時間を、Webサイトのコンテンツ改善やマーケティング戦略の立案など、より重要な業務にあてられます。

また、ヒューマンエラーのリスクを減らせる点も重要です。
手作業ではどうしても見落としやミスが発生しがちですが、自動化ツールは設定されたルールに従って正確に処理を行うため、品質の安定化にもつながります。

さらに、自動化によって最適化レベルの均一化が図れる点も大きなメリットです。
手作業では担当者のスキルや経験によって仕上がりにばらつきが出ることがありますが、自動化ツールを使用すれば、常に一定の品質で画像を最適化できます。 

サイズそのままで画像容量を小さくするならImgixを利用しよう

これまで紹介した方法は手動での作業や個別の設定が必要です。
しかし、Webサイト全体の画像を自動で、かつ高度に最適化したい場合には、「Imgix」のような画像特化型CDNサービスの利用が非常に有効です。

Imgixは、アクセスしてきたユーザーのデバイスやブラウザ環境に合わせて、リアルタイムに最適な画像(サイズ・フォーマット・圧縮率)を生成し、高速で配信するサービスです。

初期設定は必要ですが、一度導入すれば、Webサイトのパフォーマンスと運用効率を劇的に向上できます。
本格的なサイト高速化を目指す企業や開発者にとって、Imgixは非常に強力な選択肢です。

まとめ 画像容量を圧縮して快適なWebサイトを実現しよう

画像の軽量化は、Webサイトの表示速度を改善し、ユーザーを快適にするだけでなく、SEO評価の向上や運用コストの削減にもつながる重要な施策です。

一般的に画像容量を圧縮するとサイズを小さくしなければならない印象がありますが、実際はサイズをそのままにして画像容量を小さくする方法はあります。

無料で簡単にできる方法もあるので、ぜひ実践してみてください。また、企業が運営するWebサイトのように、大量の画像を扱う際はImgixのようなCDNを利用し、画像の最適化を自動化しましょう。
作業の負担を大幅に軽減できます。