「旅行サイトの写真は、ユーザーの心をつかむための武器だ」
そう信じて、高画質な写真を多数掲載している方も多いのではないでしょうか。
しかし、その美しい写真がサイトの表示速度を遅くし、お客様を逃す原因になっているかもしれません。
そこで本記事では、旅行サイトに特化した画像最適化の具体的な方法を解説します。画像の品質をほとんど落とさずにファイルサイズを劇的に軽くする技術や、SEO評価を高めるための設定方法まで、すぐに実践できるノウハウを詰め込みました。
本記事を最後まで読めば、ユーザー体験と予約率を同時に向上させるWebサイト運営を実現できるはずです。
旅行サイトにこそ画像最適化が重要な3つの理由

画像最適化と聞くと、少し専門的で難しく感じるかもしれません。しかし、ホテルや観光地の魅力を視覚的に伝える旅行サイトにとって、単なる技術的な改善作業ではないのです。
サイトの集客力や売上に直結する、非常に重要なマーケティング施策の一つといえます。ここでは、旅行サイトにとって画像最適化が不可欠な理由を解説します。
理由1:サイト表示速度がユーザー体験と予約率に直結する
旅行先を探しているユーザーは、複数のサイトを比較検討しながら心躍る体験を求めています。そのようなとき、ページの表示に時間がかかるとユーザーの期待感は減少し、サイトの離脱率が上昇します。実際、Googleの調査によればページの読み込みに3秒以上かかると、モバイルユーザーの53%が離脱するというデータもあるほどです。
特に旅行サイトは多くの画像を使用するため、ページのデータ量が大きくなりがちです。画像のファイルサイズを最適化すれば、ページの読み込み速度を劇的に改善できます。サクサクと快適に閲覧できるサイトはユーザーの満足度を向上させ、離脱を防ぎながらCVへとつなげる可能性を高めます。
理由2:コアウェブバイタルの改善で集客率を向上できる
Googleはユーザー体験の質を重視し、検索順位の評価指標としています。その中心となるのがコアウェブバイタルであり、ページの表示速度やインタラクティブ性、視覚的な安定性を測る指標群です。
なかでも、ページの最も大きなコンテンツが表示されるまでの時間を示す「LCP(Largest Contentful Paint)」は、旅行サイトでは多くの場合、大きな画像が対象とされています。画像を最適化してファイルサイズを小さくすることは、LCPのスコアを改善する上で非常に効果的です。
コアウェブバイタルを改善して検索順位が上昇すれば、サイトへの集客力向上につながります。
理由3:高画質な画像を掲載することで旅への期待感を高められる
旅行サイトにおける写真は、ユーザーに「ここに行ってみたい」と思わせるための強力なコンテンツです。美しい風景や魅力的な客室、美味しそうな料理の写真は、ユーザーの旅への期待感を最大限に高めてくれます。
しかし、魅力を伝えるために高画質な画像を使用すると、ファイルサイズは大きくなりがちです。つまり旅行サイトには、画質を維持したままファイルサイズを小さくするという技術が不可欠です。
画像最適化を行えばユーザーを魅了する美しいビジュアルと、快適なサイト表示速度という相反する要素を両立できます。
画像最適化における3つの基本要素

画像最適化を成功させるためには、大きく分けて以下の3つの基本要素を理解することが重要です。
- ファイル形式
- 画像サイズ
- 読み込み方法
上記の要素を正しく管理することで、サイトのパフォーマンスは大きく向上します。ここでは、それぞれの要素についてわかりやすく解説します。
1.ファイル形式|JPEG・PNG・WebPの使い分け
画像にはさまざまなファイル形式があり、種類によって得意・不得意が異なります。旅行サイトで主に使用する形式とその特徴を理解し、適切に使い分けることが最適化の第一歩です。
| 形式 | 特徴 | 主な用途(旅行サイトの場合) |
| JPEG (JPG) | ・フルカラー(約1,677万色)を表現可能・写真など、色数が多い画像の圧縮が得意・圧縮率を調整できるが、非可逆圧縮のため画質が劣化する・背景の透過はできない | ・ホテルの客室や外観の写真・観光地の風景写真・料理の写真 |
| PNG | ・フルカラーに対応・可逆圧縮のため、圧縮しても画質が劣化しない・背景を透過させることができる・写真などの複雑な画像ではファイルサイズが大きくなりがち | ・サイトのロゴ・アイコン・図やグラフ |
| WebP | ・Googleが開発した次世代フォーマット・JPEGやPNGよりも高い圧縮率で、同等の画質を維持できる・透過もアニメーションもサポート・主要なブラウザのほとんどで対応済み | ・JPEGとPNGの両方の用途をカバーできる・サイト全体の画像をWebPに統一することで、大幅な軽量化が期待できる |
特にWebPは、画質を保ったままファイルサイズを小さくできる非常に強力なフォーマットです。対応ブラウザも増えているため、積極的に活用していくことをおすすめします。
2.画像サイズ|ファイルサイズとピクセル数の最適値
画像サイズ」には、データの重さを示すファイルサイズと、大きさを示すピクセルサイズ(寸法)の2つの意味があります。画像を最適化するには、両方を適切に設定することが重要です。
ファイルサイズの最適化では、ユーザーがストレスなく画像を読み込めるように、1枚あたり数百KBを上限にしましょう。特に旅行サイトのように画像数が多い場合は、1枚1枚を軽くすることがポイントです。具体的には200KB以下を目標とし、高画質にしたいメイン画像でも最大500KB程度に抑えることが推奨されます。
ピクセルサイズの最適化では、画像が表示される領域に合わせてリサイズを行います。例えば、サイトの横幅が1200pxの場合、それ以上の大きさの画像をアップロードしても無駄なデータを読み込むだけです。目安としては、メインビジュアルは1,920px x 1,080px程度、記事中の画像は800px〜1,200px程度、サムネイル画像は300px x 200px程度とすると良いでしょう。
サイト上で表示されるサイズを確認し、適切なピクセルサイズにリサイズしてからアップロードする習慣をつけてみてください。
3.画像の読み込み|遅延読み込み(Lazy Loading)で体感速度を向上
遅延読み込み(Lazy Loading)とは、ページのすべての画像を一度に読み込むのではなく、ユーザーがスクロールしてその画像が表示領域に入る直前になってから読み込みを開始する技術です。
これにより、ページを開いた瞬間のデータ転送量を大幅に削減でき、ユーザーが感じる表示速度を劇的に改善できます。特に、縦に長いページやギャラリーページなど、多数の画像を含む旅行サイトでは非常に効果的です。
HTMLでの実装は非常にシンプルで、imgタグに「loading=”lazy”」という属性を追加するだけです。
【実装例】 <img src=”hotel-room.jpg” alt=”海が見える客室” loading=”lazy”>
この一行を追加するだけで、ブラウザが自動的に遅延読み込みを処理してくれます。WordPressであれば、バージョン5.5以降は自動的にLazy Loadingが適用されるため、特別な設定は不要です。
【SEO対策の強化】旅行サイトが検索エンジンに好かれるための画像設定ポイント

画像のファイルサイズを小さくすることは、ユーザー体験とSEOの両方に良い影響を与えますが、それだけでは十分ではありません。検索エンジンが画像の詳細を正しく理解できるように手助けすることで、画像検索からの流入を増やしたり、ページの評価を高めたりすることができます。
ここでは、SEOに効果的な2つの設定ポイントを紹介します。
alt属性で画像の内容を伝える
alt属性(代替テキスト)とは、何らかの理由で画像が表示されなかった場合に表示されるテキストのことです。スクリーンリーダーなどの音声読み上げソフトは、このalt属性を読み上げることで視覚障がいのあるユーザーに画像の内容を伝えます。
検索エンジンもalt属性を読み取り、画像の内容を把握するための重要な手がかりとして利用します。つまり、最適なalt属性を設定しておくと、SEO効果の向上を期待することが可能です。
なお、alt属性を設定する際のポイントは、具体的で情景が目に浮かぶような説明を記述することです。例えば、以下のような表現が挙げられます。
- alt=”夕日に照らされる沖縄・古宇利大橋の絶景”
- alt=”露天風呂から富士山を望む温泉旅館の客室”
- alt=”秋の紅葉で彩られた京都・清水寺の舞台”
alt属性に関連するキーワードを自然に含めることも有効ですが、キーワードを詰め込みすぎるとスパムと見なされる可能性があるため注意が必要です。
ユーザーと検索エンジンにわかりやすいファイル名にする
画像のファイル名も、検索エンジンがその内容を理解するための一つのヒントとされています。デジタルカメラで撮影したままの「DSC_001.jpg」や、連番の「image1.png」のようなファイル名では、その画像が何なのかまったく伝わりません。
アップロードする前に画像の内容がわかるような、具体的でわかりやすいファイル名に変更しましょう。ファイル名は、英語で単語間をハイフン(-)でつなぐのが一般的です。
【悪いファイル名】
- IMG_1234.JPG,
- 写真1.png
- ダウンロード.jpeg
【良いファイル名】
- hakone-ashinoko-mt-fuji-view.jpg
- hotel-room-ocean-view-balcony.png
- kaiseki-dinner-ryokan-kyoto.jpeg
ファイル名の最適化は一手間かかる作業ですが、SEOにおいて着実に効果を発揮します。ユーザー体験を向上させる旅行サイトを構築するためにも、細部にまで施策を施しましょう。
【実践編】目的別おすすめ画像最適化ツール

理論がわかっても、どのように画像を最適化すれば良いのかわからない方もいるでしょう。
ここでは、2つの目的に分けておすすめのツールを紹介します。
オンラインツールで手軽に圧縮
画像のファイルサイズを小さくするツールとして、TinyPNGとSquooshがあります。TinyPNGは、画質をほとんど落とさず大幅に圧縮でき、一度に複数の画像を処理することが可能です。 「とにかく手軽に画像のファイルサイズを小さくしたい」「細かい設定は不要で簡単操作を重視したい」と考える方に向いています。
Squooshは、Googleが開発した高機能なツールです。圧縮率やリサイズ、形式変換などを細かく調整でき、変更前後の画像を比較しながら作業できます。「画質とファイルサイズのバランスを自分で調整したい」「複数の処理を一度に行いたい」と考える方に向いています。
どちらもソフトウェアのインストールが不要で、ブラウザ上でドラッグ&ドロップするだけで簡単に画像を圧縮できるツールです。まずは最適化の効果を試してみたいという場合に最適です。
WordPressプラグインで最適化を自動化
WordPressでサイトを運営している場合は、プラグインを導入すると画像最適化のプロセスを自動化できます。
例えば、EWWW Image Optimizerは定番の画像最適化プラグインで、画像アップロード時に自動で圧縮・リサイズを行います。既存の画像も一括で最適化でき、WebPへの変換機能も搭載している点が特徴です。WordPressでの画像最適化を自動化したい方や、これからアップする画像も過去の画像もまとめて対応したい方におすすめできます。
Converter for Mediaは、WebPおよびAVIF形式への変換に特化したプラグインです。サーバーがWebPやAVIFに対応していれば、自動で画像を変換・配信できるため、サイト全体の表示速度を大幅に改善できる可能性があります。WebP・AVIFを簡単に導入したい方や、サイトのさらなる高速化を目指したい方におすすめです。
なお、プラグインは一度設定すると自動で圧縮やリサイズを行ってくれるため、運用の手間を大幅に削減できます。
より高度な最適化を求めるなら自動配信プラットフォームという選択肢

オンラインツールやWordPressプラグインは非常に便利ですが、手動での作業が残ったり、サーバーに負荷がかかったりする側面もあります。特に、大量の画像を扱う大規模な旅行サイトでは、これらの方法だけでは限界が見えてくるかもしれません。
そこでもう一歩進んだ選択肢として注目されているのが、画像配信プラットフォームです。
画像の保存や最適化、配信をすべてクラウド上で行ってくれるため、自社のサーバー負荷を軽減しつつ、常に良い状態で画像をユーザーに届けることが可能です。
【次のステップ】AIで画像配信を自動最適化する「Imgix」

数ある画像配信プラットフォームの中でも、特に旅行サイトの運営者におすすめなのが「Imgix」です。Imgixは、AIを活用した高度な画像処理技術を強みとしており、画像最適化の作業を全自動かつ高品質で実現します。手動での最適化やプラグインの設定といった手間から解放され、コンテンツ制作に集中できる環境を整えられます。
Imgixの概要
Imgixは、Webサイトやアプリで使われる画像をリアルタイムで最適化し、高速配信するためのクラウドサービスです。URLに簡単なパラメータを追加するだけで、リサイズやトリミング、圧縮、フォーマット変換などの画像処理を瞬時に行えます。
その高い技術力と安定性から、国内外の多くの大手企業で採用されています。
AIが実現するリアルタイム最適化と開発工数削減のメリット
Imgixの強みは、AIを活用した画像処理にあります。AIが画像の内容を自動で解析し、最適な圧縮率やファイル形式を自動で選択します。
さらに、ユーザーが使用しているデバイスの画面サイズやネットワーク速度をリアルタイムで検知し、環境に適した画像を瞬時に生成して配信できる点も魅力です。これにより、スマートフォンで見ているユーザーには軽量な画像を、高解像度モニターで見ているユーザーには美麗な画像を、自動で出し分けることが可能です。
画像最適化の処理をすべてImgixに任せることで、運営者は画像フォーマットの変換やサイズ調整といった煩雑な作業から解放され、本来注力すべきサービスの開発に集中できます。
Imgixの料金プランと導入方法
Imgixは利用した分だけ支払う従量課金制を採用しており、スモールスタートできます。
特に、初めての方でも安心して試せる無料プランが用意されています。
- STARTER:月額25ドル、小規模な制作会社向け
- BASIC:月額75ドル。小規模なD2Cブランド向け
- GROWTH:月額300ドル、メディア系コンテンツ運営企業向け
- ENTERPRISE:カスタム見積もり、世界展開している企業向け

まずは無料プランで効果を体感し、サイトの成長に合わせてプランをアップグレードしていくのがおすすめです。
まとめ 旅行サイトの画像最適化を実施し最高の体験を提供しよう

画像の最適化は継続的な努力が必要ですが、今日から実践することでサイトは徐々に改善されていきます。旅行サイトは美しい写真で旅の魅力を伝えつつ、快適な表示速度でより良いユーザー体験を提供することが重要です。この両立が、競争の激しい旅行業界で成功するための鍵となるでしょう。
画像の最適化を実施することは、ユーザー体験の向上とビジネスの成功に不可欠です。












